<日経 全文>

 

 国土交通省は中古住宅市場の取引活性化の支援策に乗り出す。建物ごとに設計図やその後の改修、点検の履歴などの情報をまとめたデータベース「住宅履歴書」の制度づくりに二〇〇八年度から着手。国が信頼できると認めた履歴書のある住宅には減税措置を適用する。中古住宅の質や状態を判断しやすくすることで「良いものを長く使う」方式を定着させ、短命といわれる日本の住宅の寿命を延ばす狙いだ。

 

 日本では中古住宅の流通市場が整っていない。国交省によると、日本の中古住宅の取引戸数は年間で二十万戸弱。約六百八十万戸の米国や約百八十万戸の英国に比べて、格段に規模が小さい。

 

 住宅の質や管理状況などの情報が少なく、値決めや売買などをしにくいことが背景にある。耐用年数が十分残っている住宅を壊して新築住宅を建てるケースも多く、日本の住宅の「短命」の原因となっている。

 

 住宅履歴書では新築時の設計図や定期点検の結果、震災の被害状況などの情報をデータベースで一括管理する。国交省は最低限盛り込む情報の項目などを定めたガイドラインをつくる。実際の管理は住宅メーカーなどの民間事業者にゆだねる仕組みを想定しており、まず大手住宅メーカーなどと具体化を進める。

 

 条件を満たした履歴書には国が認証を与える。認証を受けた履歴書を使う住宅については、固定資産税や売買時にかかる登録免許税、不動産取得税を軽減する方針。同省は月末の税制改正要望に「住宅長寿命化促進税制」の創設を盛り込む。

 

 あわせて履歴書の信頼性を確保するため、来年の通常国会に「住宅長寿命化促進法」(仮称)を提出する。必要なデータの記録を怠ったり、虚偽情報を蓄積していないかを公的機関が定期的に検査。違反には罰則を与える仕組みをつくる。

 

 これを普及させることで、丁寧に維持管理している住宅ほど、中古市場で売買しやすくなるとみている。住宅の所有者が売却時を想定して計画的に点検や改修をすることで、住宅の寿命が延びることも期待できる。

 

 国交省はあわせて長寿命住宅のガイドラインづくりも進める。生活形態の変化に応じて間取りを変えられる構造にするなど、数世代にわたって暮らせる住宅の指針を今年度中にまとめる。住宅の寿命が延びれば建設廃棄物が減り、環境への負荷も抑えられる。同省によると建設廃棄物のうち約二割は住宅関連という。